オレの小屋

父の所属する絵画サークルの展覧会があった日だったので、久しぶりに実家へ。

父は若い頃趣味で油絵を書いていて、その頃赤ん坊であった僕の絵なども残っている。特にうまくもなく、かといってひどいものでもない。そんな程度だった。
その後ずいぶんたって退職前の5年間くらいを中国ですごすことになった際、また書き始めたらしく、退職後も絵画サークルに入って、日々精進しているらしい。

昨年よりはずいぶんうまくったが、まだまだうまくなりたいらしい。
確かにサークルのベテランの方々に比べればまだまだなところはあるのだろう。
でも、僕がすばらしいと思ったのは、好きなことをやると決めて、やり始めたら、誰かに強いられることもないのに、何とかうまくかけないかと頭をひねり、情報を収集し、人に教えを請い、しつこく何枚も、何枚も書き続けることだ。
とてもうまい人に追いつけそうにないと落胆する瞬間もあると思うのだが、それでも何枚も書く。
退職者の手慰みといったら、そういう見方も出来るのだが、あることをうまくなりたいと思って、どういうものがうまいものなのかもある程度わかった上で、何をか成そうとする事は、決して快楽的なことじゃなく、どちらかというとプロセスは苦しい部分が多いはずである。
それでも書き続ける父や、サークルの比較的年配の方々の情熱というか、物数寄(ものすき)加減に心を動かされた。

展覧会を見学し、昼食を食べた後、父が最近建てた自称「オレの小屋」を見学に。

そこは昨年父が投資用に70坪くらいの土地を買っていた場所に建てた10坪弱くらいの小さな平屋で、アトリエにしたいと建てたものらしい。
天井がすごく高くて、目前を川が流れているため見晴らしも良く、思いのほか気持ちが良い場所であった。
現在庭が造成中なので、それがある程度完成するともっといい感じになるだろう。

しかし投資用の土地に色々余計なものを建てちゃったりして、建設費と取り壊しの費用で期待収益が吹き飛ぶんじゃ?という気もするが、あの好奇心旺盛でじっとしていられない父の第二の人生が退屈なものにならない為なら、どんどんお金を使っちゃってほしい。