口コミマーケティング

今日はRTCカンファレンスというイベントに出席してきました。
テーマはタイトル通り昨今よく耳にする「口コミマーケティング」という事について。
イベントの詳細などは以下リンクより。
RTCカンファレンス「口コミマーケティング」
メインのスピーカーは、あのガリガリ君のマーケッターである赤城乳業の萩原史雄さんという方だった。
僕にとってガリガリ君は、小学校の頃毎日のように食べた(あるいは食べたいと思っていた)という強烈な記憶は残っているものの、少なくとも20年以上は口にしていない商品であったので、まさかあんなに面白いマーケティングを展開されているとは知らなかった。

しかし何よりも現代的マーケティングの本質を見るような思いがした。

  1. 突き抜けた、あるいはエッジの立った中途半端ではないアイディア(萩原さんの言葉を借りました)を盛り込んだモノ(商品、販促物、CM、その他もろもろ)をつくり
  2. それを土足でムリムリ広めようとするのではなく、等身大にあるべき場所に、置いておく。
  3. コツコツとした地道なPR活動を行い、反響が広がっていくのを「待つ」

一時期はまって読んでいたセス・ゴーディン氏の著作でも繰り返し触れられていた点であるが、この中途半端でないアイディアを盛り込んだモノをつくるということは重要だと思うし、そう簡単な事ではないと思う。
まず、思いつく事自体が難しいし、さらに難しいのは思い付きを他人と協業しながら形にしていく中で、そのエッジというか濃さというか、そういうものがだんだん薄まってきてしまう事を避ける事で、僕はまさに今色々な人の手を借りて事業アイディアを形にしているわけだが、いつもその事を考えている。
技術的な障壁、市場の慣行、様々な人の意見、感想といったものを知るようになればなるほど(もちろんそういうことを知ることは重要なのだが)、単にそれらを乗り越える事、回避して「とりあえず」形にする事に頭が集中してしまい、当初自分が思い描いて興奮したアイディアの濃度が低くなってきているように感じる事がある。
Q&Aのセッションで直接萩原さんに
「思いついたアイディアの濃度を、クリエイティブと議論して製作していく段階等で薄まってしまわないようにするコツのようなものがあるのか?」
という質問をぶつけてみた。
答えとしては

  1. ガリガリ君については、ガリガリ君のためだけにプロモーションの為の会社を作って一体感を持ってやっている。
  2. それ以外の商品で外注するような場合は、まず自分の中のハードルを下げて先方にも楽しんで仕事してもらえるようにどんな提案でもとりあえず受けて検討している。

というような趣旨の事を頂いた。
内部に同じ濃さを共有するチームがあることの価値や、まず相手に楽しんで仕事をしてもらおうというサービス精神など、なるほどと思いました。
また、話題性のある(突き抜けたアイディアがあるから)モノをつくったからといって、ゴリゴリと押し込んでいくマーケティングを展開しているわけでなく、作った後はコツコツと地道な、しかも一見無欲に見える、PR活動を続けられていく中で反響が広がっていくのを「待つ」という姿勢は非常に新鮮に感じた。
何となくマーケターというと、とにかく反響の発生をコントロールしようと、あの手この手で・・・・・というようなイメージがあるが、この「待つ」技術というか、「待つ」勇気というか、この辺はまさに今、新しいアイディアを込めたサービスを構築しようとしている自分にとって考える為の材料になりました。

つまりは、ファシリテーター役を務めておられたガ島通信の藤代さんがおっしゃっていた「努力もせずに、簡単にうまくいくと思うなよ」(言葉尻は違ったかもしれませんが)というような事に尽きるのだと思いました。

どのようなツールを使っても、新しいアイディアを広げていく事は困難で、それを成し遂げるにはある意味では当たり前にやるべきことを徹底してやり続ける事に、成功の秘訣があるのかもしれないと思いました。

今回僕はこのカンファレンスには初めて出席させていただいたのですが、とても有意義なものでした。
貴重なお話を頂いた萩原さんや藤代さんには、人見知りな為直接お礼もいえない僕なので、ここでコソっとお礼を言いたいと思います。
主催されているちょーちょーちょーいい感じ保田さん、近江商人 JINBLOG上原さんにも、感謝します。
お二方とも以前よりブログは拝読しているのですが、実際カンファレンスを運営されている様子を見て、とても気持ちの良い方たちで、人徳だなぁと感じました。

いずれにせよ、15日で前職を辞し、ここ数日悶悶と自分がやろうとしている事をうまくいかせるためにはどうしたらよいのだろうと、一人で頭を悩ましていた僕にとっては、いい刺激&気分転換になりました。

また機会があればこっそり参加したいと思いました。